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- 耐摩耗性を裏付ける最も重要な条件は、硬度及び摩耗係数です。工業用クロームメッキは、高級鋼・高速度鋼でも及ばない硬さを誇ります。
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- 金属の摩耗現象は、分子間のカジリの結果及び摩耗熱による酸化、もしくは溶融摩耗現象です。しかし、滑動係数を見ると、鋼と鋼との0. 3に対し、工業用クローム層と鋼では0.16と係数だけでも半分ですみ、その上、硬度が極めて高く、耐摩耗性が非常に高いことが実証されています。また各種の潤滑油、減摩合金に対してもよく適合し、その目的を完全に達成しています。
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- これまでメッキというとすぐに" 剥離する" と認識されてきましたが、工業用クロームメッキにおいては例外です。素地との結合は完全に合金化しており、温度・衝撃・摩耗など悪条件においても、剥離することが全くありません。もちろん応用範囲も多種多彩にわたり、幅広い加工分野で利用されています。
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- メッキされたクローム層は純度99.999%と、極めて高い耐腐食性をもっています。大気中ではもちろん海水中でも腐食せず、また各種化学製品に対しても優れた耐腐食性を示しています。(徐:塩酸・塩素ガス・弗酸)
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- 用途によってメッキを自由に厚くすることができます。例えば、機械加工中に削り過ぎた場合でも、マイナスした部分だけ肉盛メッキにすることにより再使用が可能です。
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- 硬度を必要とする場合には焼入れを行いますが、シャフト類、鈑などはどうしても熱によって歪が起きてしまいます。しかし、工業用クロームメッキは50℃前後で処理されるので、製品に歪その他の影響は全然なく、硬度は前記の通り900 〜 1000HV も出るので、焼入れよりも合理的です。
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- 工業用クロームメッキ面は、平滑な析出結晶で高い光沢度をもっています。その反射係数は65%で、永久不変色のうえ曇りさえも生じないので広範囲に利用されています。鏡面・艶消・梨地など用途に応じた加工ができます。
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- とくに摩耗しやすいところや既に摩耗してしまって一部分のみをメッキすることができます。もちろん、すでに仕上がっているところには影響がありません。
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- 圧板金型などによって整形されるものは、ほとんどの場合離型剤が使用されます。しかし、工業用クロームメッキは密度が細かく光沢があるので、製品が金型に付着することなく、しかも製品の光沢を優れたものに仕上げます。
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- 工業用クロームメッキは全然素地をいためることなく、剥して又同様にメッキすることができます。素地がいたむ寸前に剥して再びメッキすれば、何度でも使用できるので経済的です。
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- 数々の特性をもつ工業用クロームメッキは、各種工業分野に採用され、経済性・品質向上に大きな役割を果しています。なお、細部につきましては係員が詳しくお応えしております。